物書きは恥かき

始めより 終わりむつかし ひとの道・・・窓際の凡才ですが おもいきり 生きてます

道の真ん中にエゾシカ

小樽についた2日目に 母を助手席に乗せて余市へ行った。
母の女学校時代の友人が入院しているというので 見舞いにいったのだ。
さて、そのまま小樽に帰るのも ちょっとつまらなかったし、
夕食時でもあったので、古平の新家寿司まで足を伸ばすことにした。
小樽も美味しい寿司で有名だが、やはり積丹の寿司にはかなわない。
我が家は、美味しい寿司が食べたいなあ と思ったら
弟か私が車で帰省している時には 積丹まで走る。ひとっ走りだ。
父が積丹の小学校に赴任していた頃は、美国のふじ寿司だった。
退職してからは、美国より近い古平の新家寿司になった。
ここは 店内のあちこちに油絵がかけてある。
母の目当ては 寿司もだが この油絵にある。

そして7日の夕方からふたたび、母をつれて新家寿司に向かった。
小樽から余市を抜けて 古平までの海岸沿いの道は
関東では滅多に味わえないドライブラインだ。
いつもの美味しいお寿司で満腹になったあと、
5時をまわっていたけれど、赴任先だった入舸までいってみることにした。
美国から坂道をのぼり、春には水芭蕉が咲くあたりを通り、婦美で右折して、
林道のようなワインディングロードをどこまでも下っていく。
このあたりも 大変気持ちのよいドライブコースだ。
だが、母は薄暗くなった空に心細そうな声をあげる。
歳をとると夜の闇が怖くなるようだが、
それも入舸小学校をみたとたん 懐かしさと安堵感にすり替わってくれた。

父と母が何年か暮らした小さな港町の海岸道路を走り抜け、
野塚から左にそれて、さて帰路だ。
雷電国道は、両脇には民家や農家、酪農の家も建ち並び、
婦美から入舸までの道よりずっと開けている。
カーブが少なくドライブ妙味は薄いけれど、母の気持ちはぐっと明るくなった様子。

さあ、もうすぐ婦美の交差点だ というあたりで
まっすぐのびる道の先 道路の反対車線の真ん中に何かが突っ立っている。
オラ「あれ、何かいる」
はは「なに?なにがいる?」
オラ「なんだろう」
人か? 酔っぱらい? 動かない。
40Kmくらいまでスピードを落としつつ 近づくにつれて
4本のすらりとした脚と大きな角が見えてきた
オラ「鹿じゃん!」
北海道だから エゾシカか?
はは「え?どこさ?」
オラ「ほら、右側の反対車線の真ん中さ」
はは「どこさ?」
と問われても、ハンドル握ってるオラは、バスガイドみたいに丁寧に説明できません。

それに、おどろかすと 怒って向かってくるかもしれない
そんな漫画を昔、 そう 手塚治虫の漫画を読んだ覚えがある。。。
あんな角でぶつかってこられたら 厭だぞ こんな山の中で
しかも夜に立ち往生したりしたら 熊が出てきてもおかしくない場所だし
私1人ならまだしも 母がおろおろしだしたら手を焼くぞ。。。
なんて考えが 頭の中をぐるぐるまわるうち
20メートルくらいにまで近づいた頃
鹿はひょいと道路脇の茂みに飛び込んでいきました。
ヘッドライトに浮かんだ姿は、
ずいぶん立派な角の はつらつとした若い体躯の 見事な鹿でした。
こんなところを堂々と歩いているなんて。
もしかして、畑の作物にも被害がでているのかもしれない。
そんなことを考えた 忘れがたいドライブになりました。

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