物書きは恥かき

始めより 終わりむつかし ひとの道・・・窓際の凡才ですが おもいきり 生きてます

連日の楽しみ

BS2は今週マックイーン特集ということで
昨夜が「シンシナティキッド」 今夜が「ブリット」
本当は2階でひとり楽しみたいんだけど、BSは1階でしか観られないので、やむなく母が陣取る居間に降りる。
母は冒頭「なんだ?洋画か?」と訊いてきたが、つまらないのかじきに新聞を広げた。
いいねいいねブリット、渋いねマックイーン
これに代わる男優 未だに出てこないね
なんて感じ入りながら、やっぱ何度観ても厭きない。というか、自分が歳をとるごとに映画の感じ方が違ってくる。
で、件のカーチェイスシーンに突入。
いきなりのスキュール音に、母の視線は新聞からTVに飛んだ。
そのうち「わっ!」と声をだし、眉をひそめ肩をすぼめて荒っぽい運転に釘付けになっている。
「あっ、危ない」
「わ! なにさあれ こわいね~ あ、あ、ぶつかる・・・あ!」
たぶん母は、いつも助手席に載っている自分の視線と、映画のフロントガラスを通したビューとを重ね合わせて観ているのだ。この印象が残って、明日出かけるときに怖がらないかなんて心配がよぎるほど、のめり込んでいる。

このカーチェイスシーンは、せりふが一言も聞こえてこない。
ただひたすら、サンフランシスコの町中を、荒々しい運転で追いつ追われつする。逃げる犯人の車がたまに他の車と接触したり、ホイールキャップ(?)が落ちたりはするが、最近のカーアクション映画につきものの、何台もが派手に転がったり大破するシーンはない。
比べてしまうととても地味な印象だが、そんなことを何もしらない80過ぎの母の目さえ引きつけて逃さないほどの真実味と迫力がある。
そう。真実味だ。
暴走車が見えたら他の車は当然急停止して危険を避ける。当たり前のそんな動きをする車が在る。追いかけるブリットの車も、一般市民を巻き添えにしてまでの暴走は避けている。警部補として当然の配慮だ。映画だからといって、そこらを無視してまでの映像はねつ造的だ。
生身の人間が、我が身の保全を第一に考えて運転したとき、たしかにこうなるだろうという納得できる車同士の動きがある。

真実に勝るドラマはない。という言葉は正しい。

カーチェイスの最後の最後に、犯人の車がガソリンスタンドにつっこんで炎上し、ストーリーの次のシーンへと変わったとたん、母の視線は新聞へと戻っていった。

まあ「女性はドライブ好き」という言葉が正しいのかもしれないが。

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