物書きは恥かき

始めより 終わりむつかし ひとの道・・・窓際の凡才ですが おもいきり 生きてます

続 全便欠航

え~ 7月1日に書いた2月の日記の続きです。
なんで今頃というと そろそろ雪が近くなって 思い出したわけです 凄かったな~ と。
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列車の中は、通路に立つ人はいないが、座席はほとんど埋まる程度の乗車人数。
加えて、この先の南千歳で降りる人はほんのわずかで、ほとんどが千歳空港から飛び立とうとする人ばかりに違いない。
このうちの何人が「全便欠航」を知っているだろう・・・と、私は当たりを見渡した。
携帯の画面に見入っている人は、私のようにニュースを知っただろうか。

ゴトリ、と列車が動き出し、やっと千歳空港地下のホームに滑り込んだとたん、ホームに溢れる人が目に入る。
この人たちみんな、千歳に着いた人なんだろうか? それが状況をしらないノー天気な考えだと、20分後に判る私。
改札を出て、エスカレーターを上り、出発ロビーに近づくにつれて、混雑は更にひどくなる。
どこの航空会社の受付前も長蛇の列で、広いロビーには各社のアナウンスが折り重なるように響いている。
「千歳空港は吹雪で全便欠航となっています・・・」
ボードを見ると、午後3時頃までは飛んでいた様子。やはり昼までに小樽を出るべきだったなあ。。。

振りかえ手続きの列に並んだあげく、明日の便は満席だそうで、明後日の9時の便をとる。(翌日になって判ったのだが、吹雪明けの日もダイヤが乱れて空席待ちが続出し、結局私が予約した便が正解だった)

そして、とりあえず小樽の家に帰ろうとJRのホームに向かったが、すでに列車は動いていない様子。ホームは入場制限され、改札付近も切符売り場付近も人があふれかえっている。
凄いなー。
しょうがないので次女に電話で連絡をとり、申し訳ないことに、千歳まで車で迎えに来てもらい泊めてもらうことになった。
高速は危ないから、遅くなってもいいから、下の道を来るようくれぐれも告げた。
だが、大丈夫だろうか。
冬に馴れているとはいえ、こんな猛吹雪の中。。。途中で遭難しないだろか。。。
今は少ないかもしれないが、私が中学生の頃までは、国道でさえ吹雪で車が閉じこめられて死人が出たことがあった。
これはまさにそんな吹雪だ。

ロビーの椅子に座って待つ間、あちこちからいろいろな会話が耳に入ってきた。
「千歳も札幌もホテルはどこも満室で、小樽なら空いているっていうから予約したんだ。今夜は小樽に泊まるよ」
・・・この人、内地の人か? 小樽がどこか判ってるのか? 電車動いていないのに、どうやって小樽まで行くのだ? この人騙されたんじゃないのか?
今夜は空港で夜明かしだと、早々に覚悟を決める人もいた。寒そうだ。
昔、ニュースでそういう光景を見たけど、今そうなる直前のまっただ中か。
寒波はこれからピークを迎える。
普通なら札幌から千歳までは、高速だと1時間もかからず、一般道でも2時間はかからない。それが4時間もかかって、彼氏の車で彼氏が運転してやってきてくれた。
吹雪の中、手短な挨拶の後、私を後部座席に乗せたとたん、娘と彼氏は揃って、途中の苦労した様子を弾丸のように放ってきた。
こういうとき、一人前の男性の存在というのは心強いものだ。
1人くらい男の子がいてもよかったかなと思える時。

道行く車の量は少なくない。
みんな雪には慣れっこの地元車とはいえ、こんな強烈な寒波の中では 細心の注意を払って低速で行進していく。
途中、地下道から出てきた人が 膝まで雪に埋もれながらバス停まで向かう途中 脚をとられて転んでいた。
その背中に容赦なく雪がたたきつけられ 生き埋めになりはしないかと思えるほどだ。
また、北広島のあたりでは 交差点の真ん中でタクシーがスタックして停車していたし
広い道路の脇で多きなトラックがハザードを点灯させて埋もれていたし
雪にタイヤをとられて明らかに進めなくなった乗用車が 降り込められて乗り捨ててあった。

そんな光景に出くわすたびに 車内には 驚きとも同情ともつかない3人の声があがる
「あ~ あれは突っ込んでしまってる」
「おお! ほとんど埋もれている ドライバーはどうしたんだろう・・」
そして、自分たちも一歩間違うとそうなってしまう
ちょっとでもそれて雪にタイヤをとられて止まってしまったら 3人がかりでも抜け出すことができずに終わってしまいそうだ
会話の声は明るいが、運転する彼氏は神経がほとほとすり減ったことだろう
無事に手稲に着いたのは、夜明けも近い午前4時だった

だが 恐怖はあとからやってくる

千歳空港で寝泊まりした群衆の様子が流れたのはいうまでもないが
驚いたのは、翌日の昼のニュース
吹雪で死人が出たらしい
それも 昨夜通ってきた道だ
テレビに空からの映像が流れた
白い平野の中、スタックして埋もれた車列らしき こんもりした山の中から 車を掘り出す作業をしている
その1台から 若い男性が亡くなっていたのが見つかったとのこと
降り込められたのは 我々が通った直後のようだ

無事に帰ってこれてよかったね

北海道の吹雪は 今の時代も やはり手強い

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