物書きは恥かき

始めより 終わりむつかし ひとの道・・・窓際の凡才ですが おもいきり 生きてます

埠頭とルーツ

090823_095502.jpg090823_095501.jpg
( 第二埠頭ではカモメが行儀良く整列。餌を待っているのだろか。)
カモメがかわいいと母は上機嫌。
母「あんた、ここの埠頭の海って深いんだよ」と教えてくる。
私「まあ、そうだろねえ。大きな船がつっかえないくらいの深さがないとね」そりゃそうだろなあ。
埠頭の突端までぐるっとまわってみるかと、エンジンをかけて車を進めたら、
母「どこにいくのさ、怖いねえ、海に落ちないでくれよ」笑い半分に言う。
私「あはは、だいじょぶだ。。。もし間違ってハンドル切り損ねて、このまま私と母さんとで落ちたら、老人の介護を苦にして心中とか言われそうだね(^o^)」
母「あはははは! 厭だねぇ(^o^)」

—————————————————————–

朝9時から 母を助手席に乗せて 手宮の24時間スーパーまで食材の買い物に出た。
その帰り道、小樽港の埠頭あたりにちょっと寄り道してみた。
第三埠頭の付け根には、祝津へ向かう遊覧船の発着所がある。子供の頃、夏休みに父に連れられ、弟と3人で乗って祝津まで行った覚えがある。バスとは全く違う、冒険心をかきたてられる乗り物だった。
母を乗せてあちこちを走ると 行く先々で 昔の思い出がわき上がるままにしゃべりっぱなしになる。どちらかというと寡黙な私には、ちょっと苦手な環境だ。
「海は懐かしいなあ。。 むかし あそこに水上警察があって、私の父親が勤めていたときにがあったんだ。」
え。そうだったのか? 水上警察にもいたとは初耳だ。
母が子供の頃、つまり太平洋戦争の前、海上保安庁の無い頃の話らしい。当時は、陸上と水上の警察にわかれていて、転勤で陸上に行ったり、水上に行ったりしていたという。母の父(私の祖父)は警察官だった。その娘である母が教員だし、母の夫(私の父)も教員だし、母の夫の父(私の祖父)は小樽市の水道局に勤めていたし、その息子達(私の父の兄弟)も3人が教員という、身内のほとんどが公務員の一族だ。
そんな中に、どうして私のような自由きままな人間が誕生したのだろうか。
どうやらそれは、母の母、佐渡島出身の「本間ツル」という祖母のDNAを、私は濃く受け継いだようだ。私が幼稚園の頃、両親は共働きの教員で、家には母の両親であるおじいちゃんとおばあちゃんがいつも居てくれていた。だから、私も弟も安心していられたし、両親も安心して勤めにでていた。
おじいちゃんは庭の手入れをしたり、遊び相手をしてくれる人だったし、
おばあちゃんは料理や洗濯をしたり、編み物、縫い物を教えてくれる人だったし、
そんな老後の姿しか幼い目には見えていなかったけれど、普段の生活のふとしたときに、おばあちゃんは切れ者だと感じることが多かった。もしかしたら、我が家で一番、頭の良い人だったかもしれない、と思う。

ある時、祖母が自分の昔話をしたことがある。
佐渡から(なにがきっかけかわからないが)小樽に渡ってきて、有名なお針の先生に弟子入りをした。だが、弟子がいっぱいいたせいか、その先生が意地悪だったせいか、なかなかお針を教えてもらえず、子守ばかりさせられた。それでも、門前の小僧ではないが、仲の良い姉弟子に教わりながら覚え覚えし、2年もした頃にはその姉弟子と逃げ出して、2人で東京に行きお針の店を出したのだという。
へえ。。。小学校に上がったばかりだった私は、目を丸くした。
「じゃあ、どうして今、小樽に居るの?」
「お店はそこそこ繁盛したんだけど、やめて小樽に戻ってきた」のだそうだ。関東大震災があったのか? いや、そのちょっと前? いずれにしろ、生き残ったおかげで私がある。
そして、警察官だったおじいちゃんと結婚して「河内ツル」となり、女の子が2人生まれ、その下の娘が私の母親「河内俊子」。。。。ってことらしい。
ちなみに、祖母は祖父より1歳年上だった。祖父は前妻と死別して祖母とは再婚、祖母は33歳で初婚だった。
祖父は退職した後に、納内で稲作をしていたらしい。祖母はそこでは姑にいびられていたという。
その次女である母は、札幌や小樽の小学校で教員をし、31歳で6つ年下の父と結婚した。
そして、第一子である私が生まれそうになり、さて、どうする。。。となったとき、祖父と祖母が納内の田畑を売って小樽に舞い戻り、「孫の子守するから、おまえは安心して勤めに出ろ」と、今の家を建てて、娘夫婦と暮らし始めた。(つまり、この家は私と同じ歳だ)
家事より外が好きな母には、願ってもない環境。
そして、私と弟も、祖父母に育てられて幸いだったと思う。
そんな育ての親ともいえる祖父母は88歳で他界した。
その歳に、母はあと3年で到達するが、当時の祖父母よりずっと元気だ。
きっと90歳は軽く越えるだろう。
私の方が先に逝きそうだ。。。。

RSS 2.0 | Trackback | Comment

Comments are closed.