物書きは恥かき

始めより 終わりむつかし ひとの道・・・窓際の凡才ですが おもいきり 生きてます

父を載せていると

一時帰宅を終えて病院へ送っていく5号線では、一番左車線を、猫をかぶったライオンモードで走る。
とてもおとなしい。
同じ車線をだんだん追いついてきた車が、しばらくは一緒に走っているけど、そのうち右ウィンカーを光らせて追い抜いていく。
そんな後ろ姿を「どうぞどうぞ いいのだ今日は。オラは病気だと思ってくれ」と心でつぶやきながら、助手席の父と「今日の海の色は」だとか「あのあたりは昔なにもなかった」だとか会話する。
母も参加したくて後部座席からあれこれ声をとばしてくるけれど、ぜんぶズレている。。。ちょっとかわいそうだ。

戻る日の朝には、「病院に行く前に石狩浜に寄りたい」ということがある。「おいら岬の~」とかいう石碑のある場所だ。
特に何があるわけでもないので、長居はしない。
ぐるっと回ってもうすぐ医大というあたりのレストランで軽い食事をしてからいよいよ病室へ戻す。

もうすぐ医大という札幌市内の交差点。
左側を走っていたBMWかどこかのカブリオレが、赤信号で幌をたたんだ。
「おっ」と父が声を上げる。わたしは、
「日差しが傾いたからたたんだんだね」と応えたのに続けて、その気もないのに
「つぎ、ああいうの買おうかな」というと
「・・・・・やめとけ」
やっぱり。
父はああいうの嫌いなのだろなあ
「屋根付き駐車場じゃないと雪のとき困るしね」
「そうだ」
つまり父は、スキーで使えない、小樽では不自由するってまず浮かぶんだろなあ。

そんな札樽間の往復も終わった。
樽病に転院したのだ。
バスでも行ける。

でも それも長くは続かない。
1週間後には退院してくる。

明日は庭の雑草抜きでもしておこうか。
池の水も少し入れ替えてきれいにしておこうか。

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